駅舎は、本屋と棟続きの貴賓室とで成りたち、どちらにも車寄せがある。
本屋には、正面玄関上部の東と西に、同じ大きさの半円大窓が設えられ、ここには網入りの厚板型硝子が使われている。太陽を彷彿させるデザインは、単純な太い鉄線と網入り厚板型硝子のバランスがよく、清々しい印象を与える。
大正期の国産硝子がそのまま使用されているとすれば、大正五年、鋳造法により網入り厚板型硝子の生産に成功を収めた「極東硝子工業株式会社」製の可能性が大きい。古い資料の写真と、現在のものとは、デザインに多少の違いがあり、直接硝子をさわることができなかった為、正確な判断はむづかしい。
構内には、大正中期頃から盛んに使われるようになったタイルが張られている。緑色のタイルは通し目地(芋目地)で張られ、貴賓室前車寄せ柱上部の彩色に使われた色と同系色でまとめられている。
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